Inside Konkan Shoten: How a Fabric Finds Its Colour

誉勘商店、色が布になるまで

京都・室町の金襴商が、一枚の布に至るまでに重ねる選択。

正面から見ると青く、光や影の具合で赤みが見える。誉勘商店が扱う織物には、そんな一枚がある。異なる色の経糸と緯糸が組み合わさり、角度や光によって、それぞれの色が表に出てくる。

糸の色を選ぶだけでは、布の色は決まらない。何と組み合わせ、どう織るか。そして、織り上がったときにどう見えるか。誉勘商店の仕事は、その間にある細かな判断を積み重ねていくことにある。

1751年創業、京都・室町で金襴の製造卸を営む誉勘商店。十三代目の松井幸生が率いるこの店は、寺院の装束や袈裟、人形の衣装などに用いる絹織物を手がけてきた。そこには、注文する人のイメージを、織り手の仕事へつないでいく役割がある。

 

使い道から、布を考える

お誂えは、その布を何に使うかという相談から始まる。欲しい柄や色が決まっていれば、それを手がかりにする。漠然としたイメージや、参考にしたい写真から話を進めることもできる。

そこから、文様、糸、色、組み合わせ、織り方を考えていく。同じ文様でも、大きさや糸の太さ、配色を変えれば、布全体の印象が変わる。金の表情にも幅がある。明るく輝かせるのか、落ち着かせるのか、時を経たような風合いにするのか。どの金を選ぶかで、周囲の色との関係も変わってくる。

見た目とともに、使う場面で求められる性質も考える。たとえば衣服に使うなら、毛羽立ちにくさが必要になることがある。一枚の布を考えることは、それが仕立てられ、使われる先まで考えることでもある。

 

織ってから、確かめる

色の選択肢は約1,200色。その中から糸を選んでも、狙った印象になるとは限らない。色見本で見た色と、ほかの糸と一緒に織り込まれた色とでは、見え方が違うからだ。

そこで試作を織り、実際の布を確かめる。配色はどう見えるか。文様の大きさや風合いは、用途に合っているか。必要に応じて調整し、もう一度確かめていく。試作は、図案や糸の段階では見えていなかったことを知るための工程でもある。

青から赤へと表情が変わる織物は、その仕組みをよく伝えている。布の色は、一本の糸だけを見てもわからない。経糸と緯糸が交わり、光が当たったときに、初めて見えてくるものがある。

 

次の一枚へつなぐ仕事

誉勘商店は、こうした判断を束ねる製造卸商だ。注文する人の希望を聞き、糸や配色、風合いを検討し、熟練の織り手とともに布を形にする。それぞれの工程をつなぎ、完成する布を見渡すことが、この店のものづくりを支えている。

好みや使い道が変われば、求められる布も変わる。文様を小さくする。糸を替える。金の輝きを抑える。同じ柄から、新しい印象の布が生まれることもある。受け継いできた知識は、そのたびに選び直し、調整するために使われている。

出来上がった布からは、そこに至る相談や試作の数までは見えない。それでも、その過程で決めたことは、色や風合いとして残る。次の一枚もまた、どこで、どのように使う布なのかを聞くところから始まる。

誉勘商店を紹介するFlow of Japanの映像を見る。

Flow of Japanについて

Flow of Japanは、ReDimのドキュメンタリープロジェクトです。日本の仕事や文化、日常を、それらを支える人々の姿を通して伝えます。

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